特集 上部消化管手術におけるトラブルシューティング─困難症例・偶発症への対策
食道癌手術における高度胸膜癒着症例への対処
丹黒 章
1
,
滝沢 宏光
1
,
吉田 卓弘
1
,
後藤 正和
1
,
井上 聖也
1
,
都築 英雄
2
1徳島大学大学院医歯薬学研究部胸部・内分泌・腫瘍外科
2高知県厚生農業協同組合連合会 JA高知病院
キーワード:
胸膜癒着
,
食道亜全摘術
,
縦隔鏡下食道切除術
Keyword:
胸膜癒着
,
食道亜全摘術
,
縦隔鏡下食道切除術
pp.1069-1074
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002281
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分子標的治療を含む薬物療法の急速な進歩にもかかわらず,食道癌治療に使用できる薬剤は限られており,進行食道癌に対する標準治療は術前化学(放射線)療法と食道亜全摘術である1)。近年の内視鏡外科手術の進歩により,食道癌根治術も半数以上に胸腔鏡手術が導入され,左側臥位が主流であったアプローチも,気管,心嚢の背側に位置する食道を幅広く明視野下に置き,重力を利用して切除ができる腹臥位手術が多くの施設で採用されるようになってきた。しかし,2011年から始まったNCD(National Clinical Database)登録に基づいた2014年の調査報告では,低侵襲性が謳われる胸腔鏡手術では,出血量の減少は認められるものの,手術時間は延長し,術後合併症は増加していた2)。
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