私の経験
くも膜下出血に対する内頸動脈C2 trapping+ハイフローバイパス手術と眼動脈遮断後に視力低下をきたした1例
岡本 紀夫
1
,
松下 賢治
2
1おかもと眼科(大阪府)
2大阪大学医学部眼科学教室
キーワード:
くも膜下出血
,
解離性動脈瘤
,
眼動脈遮断
,
trapping
,
ハイフローバイパス
Keyword:
くも膜下出血
,
解離性動脈瘤
,
眼動脈遮断
,
trapping
,
ハイフローバイパス
pp.461-465
発行日 2025年5月5日
Published Date 2025/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004152
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症例は61歳,女性。くも膜下出血の原因である内頸動脈C2部の解離性動脈瘤に対して,循環器の専門病院でtrapping+ハイフローバイパス手術と眼動脈遮断が施行された。術後より右眼の視野欠損と視力低下を自覚し7か月後に他院眼科を受診したところ網膜中心動脈閉塞症後と診断され,当院に経過観察目的で紹介された。初診時,右眼視力は眼前手動弁であった。光干渉断層像では網膜の菲薄化は軽度で層構造が保たれていた。左眼の黄斑部ganglion cell complexは視野に一致して菲薄化していた。右眼は外傷性視神経症に近い所見であり,左眼は半盲に一致する所見であった。くも膜下出血とそれに対する手術によるさまざまな要因によりこれらの所見に至ったと考えた。眼動脈完全遮断後10%の患者に視野障害がみられたとの報告があることから,術後は注意する必要がある。

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