特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅲ.斜視・眼振 2.スマホ斜視
清水 有紀子
1
1ツカザキ病院眼科(姫路市)
pp.1411-1417
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002427
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はじめに
「スマホ斜視」という言葉は,まだ共通認識された定義のない俗称であるが,初めて聞いてもスマートフォン(以下スマホ)の使用に関連する斜視を示すと想像できる。実際にインターネットで「スマホ斜視」を検索してみると,NHKや新聞社などのページを含めて数十万件の結果が表示され,一般社会で使われ始めていることがうかがえる。また,スマホに代表されるデジタルデバイスの使用が健康に及ぼす影響が世界中で問題となっており,2019年には世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を国際疾病分類に認定した。スマホが生活の必需品となっている一方で,目への影響を心配する人々の間で,「スマホ斜視」という感覚的にわかりやすい言葉が具体例として広まったのではないだろうか。「スマホ斜視」の実態はまだよくわかっていないが,眼科外来には眼位異常を訴える患者が受診し,我々眼科医は何らかの対応を迫られる。本稿ではいわゆる「スマホ斜視」に関連する現時点での情報を共有する。なお,デジタルデバイス使用後の外斜視による複視も報告されているが1),本稿ではこれまでに報告の多い内斜視について述べる。
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