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Heads-up手術は手術顕微鏡にアイピースの代わりにビデオカメラを装着して手術画像を3Dモニタで映し,術者は3Dバイザー(3D偏光メガネ)をかけて画面を観察しながら行うデジタル支援手術である。術者はアイピースを覗く前傾姿勢から,前方のモニタを真っ直ぐ見て手術を行うのでHeads-up手術と呼ばれている。ARTEVO 800はCarl Zeiss Meditec社(以下Zeiss社)製のHeads-up手術用の手術顕微鏡である(図1)。Zeiss社はARTEVO 800を初めてのデジタル手術顕微鏡であると呼んでいる。これは手術顕微鏡そのものがHeads-up手術用に再設計されていることによる。手術顕微鏡の画像は2台の4Kビデオカメラで撮像され,55インチの4K医療用3D液晶モニタに映し出される。4Kのビデオカメラは顕微鏡の鏡体に内蔵されている。これはカメラから顕微鏡の対物レンズまでの距離をできるだけ短くして光学的なロスを最小限にしているためである。一方で鏡体の上部に通常の顕微鏡鏡筒を取り付けて画像を切り替えることもできる(Hybridモード)。しかし3Dモニタを術者のできるだけ正面に設置しようとすると鏡筒部分で画面が遮られてしまうため鏡筒部分がないほうがすっきりしている。Alcon社のNgenuityは2つの2Kカメラと4Kの有機エレクトロルミネッセンス(organic electro-luminescence:OEL,もしくは有機EL)の市販3Dモニタを使用している。ARTEVO 800は4Kカメラを使用していても4Kモニタに映されるのはサイド・バイ・サイドの2K+2Kの情報であり,2Kカメラを使用したNgenuityとモニタからの出力面では差がない。しかし高精度の医療用のモニタを使用することで体感的には解像度が高くなったような印象がある。
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