綜説
インフルエンザ流行期間中に生じたウイルスの変異の程度
常城 朱乃
1
1鳥取大学 医学部ウイルス学分野
キーワード:
インフルエンザ-ヒト
,
抗原変異
,
感染症伝播
,
インフルエンザウイルスA型H1N1亜型
,
系統樹
Keyword:
Antigenic Variation
,
Influenza, Human
,
Disease Transmission, Infectious
,
Influenza A Virus, H1N1 Subtype
pp.271-276
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2016209000
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インフルエンザ(IE)が流行するメカニズムについて述べた。IEウイルス(IV)は抗原性の違いにより、A型、B型、C型の3つに分類される。IV粒子表面にはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の2種類の糖蛋白質スパイクがある。IV粒子内部には遺伝子情報としてゲノムRNAをもち、これらは8本の分節に分かれている。A型のHAは16種類、NAは9種類あり、これらの組み合わせによりA型には144種の亜型が存在する。B型のHAとNAはそれぞれ1種類のため、亜型は存在しない。同一宿主細胞に2種類のIVが同時感染すると、ゲノムの8本の分節が相互に組み換わり遺伝的に大きく異なる新型IVが生じることがある。人類はこの新型IVに対する抗体をもっていないため、IEの大流行に至ると考えられた。
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