特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
治す 先天性心疾患に対する心筋再生医療
石神 修大
1
,
大月 審一
,
笠原 真悟
,
佐野 俊二
,
王 英正
1岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科
キーワード:
自家移植
,
再生
,
心臓疾患-先天性
,
臨床試験
,
左心低形成症候群
,
幹細胞移植
,
Cardiosphere由来幹細胞
Keyword:
Clinical Trials as Topic
,
Heart Defects, Congenital
,
Regeneration
,
Transplantation, Autologous
,
Hypoplastic Left Heart Syndrome
,
Stem Cell Transplantation
pp.547-551
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220959
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近年における先天性心疾患の治療成績の改善は目覚ましいものである。胎児期や生後早期の正確な診断,手術方法,周術期管理,さらにはインターベンション法の改良により救命率は90%に達したともいわれている。著しく治療成績が不良であった左心低形成症候群でさえも大半の患者が成人期を迎えることができる時代となった。しかしながら救命率の改善の一方では,小児期に発症する心不全症例も増加の一途をたどっている。とりわけ機能的単心室症に対するFontan手術後は10~20%の症例で心不全症状を有するという報告もある。現時点では末期心不全に対しては,有効な治療手段は少なく新たな治療法の開発が急務である。ヒトへの心筋再生医療の応用はMenascheらが2001年に骨格筋芽細胞を用いた第一例を報告した。それ以降,現在までにさまざまな体性幹細胞を用いた心筋再生の臨床研究が行われている。心筋再生分野における重要な発見の1つが内在性の幹細胞の発見であろう。長い間心臓は「終末臓器」と考えられていたが,2003年に心臓内に幹細胞の存在が示され,その高い再生能力が報告されている。ヒトへの心筋幹細胞を用いた心筋再生は,SCIPIO,CADUSEUS trialで駆出率の改善や線維化心筋の縮小効果として報告されている。しかしながら,心筋再生治療の大半は成人の虚血性心疾患が対象であり,小児への応用となると症例報告が散在しているのみであった。今回は先天性心疾患に対する心筋再生医療の現状と,その可能性について述べたい。
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