特集 もう迷わない! 循環器薬物処方〜若手医師へ贈る熟練医の処方の考え方
III 実臨床で迷うことがある病態での薬物治療の実際
1. 高血圧を合併したHFpEFに対する急性期と慢性期の薬物治療
平岩 宏章
1
,
奥村 貴裕
1
,
室原 豊明
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学
キーワード:
心不全
,
HFpEF
,
高血圧
,
薬物療法
,
臨床試験
Keyword:
心不全
,
HFpEF
,
高血圧
,
薬物療法
,
臨床試験
pp.120-125
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000001402
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本稿では,高血圧を合併した左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の管理において使用されうる一般的および新規の薬物療法の有効性,安全性,および臨床転帰に関する最新の進展と新たなエビデンスについて提示する。近年,心不全に対する薬物療法のパラダイムシフトが起きており,HFpEFに対しても有用性を示す新たなエビデンスが出てきている。ナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず,HFpEF患者の心不全による入院や心血管死を減少させることが期待されている。アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)と可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬のベルイシグアトは心不全症状,運動耐容能,生活の質(QOL)を改善する可能性を示している。一方で,高血圧を合併したHFpEFに対する最適な治療戦略を明らかにするためには,さらなる長期的な研究が必要である。
Copyright © 2023, MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.