特集 臨床MRIを基礎から知る−さまざまな角度からMRIの魅力に迫る−
[頭部領域]
頭部外傷
田岡 俊昭
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 革新的生体可視化技術開発産学協同研究講座
キーワード:
磁化率強調像(susceptability weighted image)
,
拡散強調像(diffusion weighted image)
,
びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury)
,
びまん性血管損傷(diffuse vascular injury)
,
脳溝内高信号(sulcal hyperintensity)
Keyword:
磁化率強調像(susceptability weighted image)
,
拡散強調像(diffusion weighted image)
,
びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury)
,
びまん性血管損傷(diffuse vascular injury)
,
脳溝内高信号(sulcal hyperintensity)
pp.40-45
発行日 2023年4月30日
Published Date 2023/4/30
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001254
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▶ 急性期頭部外傷の画像診断はCTが第一選択となる。CTは撮像時間が短く,出血の検出能が高く,骨や空気の描出にも優れる。生命予後にかかわり外科的処置を要する病変の検出にはまずCTを選択する。
▶ 急性期重症頭部外傷でMRIは画像診断の第一選択にはならない。急性期頭部外傷でのMRIが用いられるのは主にCT所見と臨床所見の乖離がある場合,CTでは描出の困難な病変が考えられる場合である。
▶ 頭頂部の少量のくも膜下出血はCTが不得意とするところであり,FLAIR像やT2*強調像あるいは磁化率強調像での描出が優れている。
▶ びまん性軸索損傷は白質の剪断あるいは過伸展による損傷であり,CTでの描出は困難である。びまん性軸索損傷の描出にはFLAIR像や拡散強調像が有用であることが多い。
▶ 実質内の出血の検出にはT2*強調像や磁化率強調像が有用であり,脳挫傷による粗大な出血像のみでなく,実質内に多発する微小出血であるびまん性血管損傷なども評価することができる。
▶ 磁化率強調像は微量の出血にも鋭敏である一方,撮像に時間を要し体動にも弱いことから,急性期には短時間で撮像できるT2*強調像のほうが有用であることもある。
▶ 拡散強調像はびまん性軸索損傷の描出に有用であるほか,外傷に関連した虚血や感染の検出にも用いることができる。
▶ 通常のT1強調像やT2強調像は出血後の経過で信号値が変化するので,出血後の時間経過をある程度判定できるほか,繰り返された出血かどうかの判断ができ,例えば繰り返す虐待が疑われる症例に関しての情報となりうる。
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