書評
『肘関節外科の実際(改訂第2版)――私のアプローチ』
稲垣 克記
1
1昭和大学整形外科客員教授
pp.1202-1202
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1202
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- 文献概要
肘関節外科の進歩は手外科の進歩と同様に近年著しい.本書は整形外科医が日常診療上もっとも遭遇する機会の多い肘関節の外傷と障害に関し,奥義の深い,ダイナミックでかつ繊細な注意が必要なところを,肘関節手術のエキスパートでありレジェンドでもある伊藤惠康先生独自のオリジナルな手法で解説した改訂第2版である.特に伊藤先生は日本整形外科学会および日本肘関節学会,日本スポーツ整形外科学会,日本手外科学会でご高名な先生であり,たとえば欧米で席巻している肘関節鏡視下手術に関しての記述は本書にはない.これはすでに伊藤先生が長年にわたって行ってきた手術法が,近年欧米で行われている手術法よりも絶対的な自信をもってよいアウトカムが得られると確信しているからであろう.手外科ならではの小皮切,最小侵襲手術をお極めになっている.プロ野球選手や成長期の野球肘,肘内側側副靱帯損傷に対するパイオニアとしてもたいへんご高名な先生である.いわゆる米国のビッグネームであるJobe法から伊藤法(ドッキング法)として世に広まったのもまだつい最近の話である.
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