Japanese
English
整形手術手技
脛骨遠位端骨折に対する逆行性髄内釘による治療経験
Retrograde nail treatment for distal tibial fracture
山川 泰明
1
,
松本 俊之
1
,
上原 健敬
2
,
野田 知之
2
,
尾崎 敏文
2
Y. Yamakawa
1
,
T. Matsumoto
1
,
T. Uehara
2
,
T. Noda
2
,
T. Ozaki
2
1高知医療センター整形外科
2岡山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kochi Medical Sciences Center, Kochi
キーワード:
distal tibial fracture
,
Distal Tibial Nail
,
intramedullary nail
Keyword:
distal tibial fracture
,
Distal Tibial Nail
,
intramedullary nail
pp.452-458
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_452
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は じ め に
下腿遠位部骨折は高所転落などの高エネルギー外傷もしくは高齢者の転倒による低エネルギー外傷により発生し,その治療は最少侵襲プレート固定術(minimally invasive plate osteosynthesis:MIPO)に代表されるプレートによる骨接合術が一般的である.しかしながら,下腿遠位部は受傷時および手術時の軟部組織損傷などのため軟部組織合併症が少なくない1).一方,髄内釘による骨接合術は軟部組織に低侵襲であり,本骨折の軟部組織損傷に対して有利である.しかし,これまで臨床で使用可能な脛骨遠位端骨折専用の髄内釘は存在せず,脛骨骨幹部骨折用の順行性髄内釘を適応しているのが現状であった.順行性髄内釘は膝関節周囲への侵襲ならびに続発性の膝周辺の障害を誘発してしまうことが問題であった2).
2017年より世界に先駆けてわが国で使用可能となったDistal Tibial Nail(DTN)[ミズホ社,東京]は,脛骨内顆から逆行性に挿入するため,膝関節部への損傷を回避することが可能である.またプレート固定と比較しても強固な固定力が得られ3),軟部組織に対してより低侵襲であるなどの特徴を有する.
本稿ではDTNの自験例の臨床成績ならびに手術手技上の注意点を解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021