書評
『軟部腫瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)』
秋末 敏宏
1,2
1神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域教授
2神戸大学医学部附属病院整形外科
pp.449-449
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_449
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本書は,初版が2005年4月に,第2版が2012年1月に発刊され,今回の改訂は8年ぶりに大幅に行われた.第3版の特徴は,まず,策定委員会の構成および策定作業のプロセスが,前版と比較して大きく変更されたことである.策定委員会の構成は,前版までは軟部腫瘍診療の第一線で活躍されている整形外科専門医のみで構成されていたが,本改訂から整形外科のみならず,腫瘍内科,小児科,放射線科,病理科の軟部腫瘍に精通した各専門領域の専門医も参画しており,軟部腫瘍の診療における集学的アプローチの見地から,推奨文の策定過程で多角的かつ客観的な議論がなされたものと考える.また,改訂作業のプロセスにおいては,前版と異なり,「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」および「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に準拠して改訂作業が行われており,これは近年策定された他診療領域の診療ガイドラインと同じ策定手続きであり,本邦におけるガイドライン策定過程の統一化および客観性を担保するうえで重要な変更点と考えられる.さらに,策定過程のシステマティックレビューにおいては,策定委員会とはまったく異なるメンバーから構成されるシステマティックレビューチームが,エビデンスの抽出と評価を行い,推奨文,エビデンスレベル決定の根拠となるシステマティックレビューの客観性,透明性が担保されており,前版とは大きく異なっている.
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