書評
『すぐに使える痛みの漢方診療ハンドブック――現代に合わせた本格的な漢方薬の応用――病態と漢方薬の特性を捉える』
竹下 克志
1
1自治医科大学整形外科教授
pp.474-474
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_474
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- 文献概要
運動器障害への治療にあたって,痛みへの対処は原因疾患の同定とその治療が原則であろう.特に疾患が進行している場合,整形外科医であれば治療効果が明解であり,時間経過も予測しやすい手術的治療を想定しながら治療計画を立てることが多いであろう.その一方で,外来患者が「腰の手術を受けた友人から『絶対に手術はうけちゃあダメよ』といわれた」,と話すことがある.こうした患者の期待に沿わない手術で満足度が最低に終わった例は今も少なくないし,筆者自身が手術を手がけた患者からも「腰痛は相変わらずあります」と胸に刺さる一言をいただくこともある.そもそも整形外科外来でみている大半の患者は手術で得られるメリットが少なかったり,適応がなかったりするのが現状である.
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