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1.は じ め に
第38回の本研究会を2019年9月28日(土)に東京都新宿区の京王プラザホテルで開催させていただいた(図1).歴史ある本研究会は,同種骨移植の推進を目指し,日本骨移植学会の一分科会として「骨移植分科会」が設立されたことを契機に,故諸富武文名誉教授(京都府立医科大学)を会長として1980年5月に第1回の本研究会が「骨・軟部移植研究会」として開催された.1984年には故山本真名誉教授(北里大学)が代表幹事となって「骨・関節・軟部組織移植研究会」が結成され,次第に運動器の移植全般についての研究発表が増加していく時代の流れに即し,1989年の第8回からは「骨・関節・軟部組織移植研究会」に,1993年の第12回からは「日本骨・関節・軟骨組織移植研究会」に名称を変更し,2001年の第20回から現在の名称である「日本運動器移植・再生医学研究会」となり,今回では第38回を迎えた.第3回を今井望名誉教授(東海大学),第21回を戸山芳昭名誉教授(慶應義塾大学),第25回を持田讓治名誉教授(東海大学)が開催されており,当教室にとっても関連の深い研究会である.
今回のテーマを「近未来における運動器移植再生医療―麻痺と疼痛の克服に向けて」とさせていただいた.超高齢社会を迎えたわが国において「健康寿命の延伸」は最重要課題の一つであり,整形外科的観点から運動器の再生医療は,近未来のわが国の医療において重要な役割を担うと期待されている.運動器には骨,筋肉,神経,軟骨・椎間板,腱・靱帯などさまざまな組織があり,関節軟骨においてはこれまでの基礎研究・橋渡し研究が実を結び,すでに臨床応用が開始されている.また,これまで不可能とされてきた脊髄再生に関しても,脊髄や細胞を用いた臨床研究や治験が数多く行われている.日本が世界に発信してきたこれらのシーズが再生医療として社会実装されれば,運動器における麻痺と疼痛の克服につながり,健康寿命延伸が可能になるものと期待される.まさに日本の運動器における再生医療はここ数年が正念場であると感じており,本研究会の意義はますます大きくなっていくと考えている.
以下にプログラムの概要を紹介する.
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