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内側型変形性膝関節症患者における膝蓋大腿関節症合併が与える臨床的影響
Clinical impact of coexisting patellofemoral osteoarthritis in Japanese patients with medial knee osteoarthritis
飯島 弘貴
1
H. Iijima
1
1京都大学大学院医学研究科
1Graduate School of Medicine, Kyoto University
キーワード:
patellofemoral joint
,
tibiofemoral joint
,
gonalgia
Keyword:
patellofemoral joint
,
tibiofemoral joint
,
gonalgia
pp.1317-1319
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1317
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【要 旨】
目 的:従来,変形性関節症(OA)の疫学調査の対象は脛骨大腿(tibiofemoral:TF)関節が中心であったが,近年では膝蓋大腿(patellofemoral:PF)関節の重要性が指摘されるようになった.本研究の目的は,内側型変形性膝関節症(膝OA)患者においてPF関節OA(PFOA)合併が与える臨床的影響を検討することである.
対象および方法:内側型膝OA[Kellgren-Lawrence(K-L)分類grade≧Ⅱ]と診断され,整形外科外来に通院する143例(年齢73.7±7.64歳,女性比75.5%)を対象とした.外側像・軸斜像のX線所見より,PFOAの有無を評価した.臨床的指標の評価には,変形性膝関節症機能評価尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure:JKOM)を使用し,PFOAの有無がJKOM得点に与える影響を検討した.
結 果:PFOA合併例は98例(68.5%)であり,TF関節OA(TFOA)単独例と比較して強い関節痛があった.分位点回帰分析の結果,PFOA合併は,年齢,性別,body mass index(BMI),K-L分類で調整してもなお,膝関節痛の強さと有意に関連した.さらにPFOA合併による階段昇降時痛のオッズが3~5であった.
結 論:内側型膝OA患者において,PFOA合併例はTFOA単独例よりも強い関節痛を有し,階段昇降時痛が生じやすい.
© Nankodo Co., Ltd., 2017