書評
今日の治療薬2025
陶山 恭博
1
1NTT東日本関東病院リウマチ膠原病科 医長
pp.283-283
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_283
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- 文献概要
これは,私が専門研修のときにメンターからいただいた格言の一つだ.みずからが処方する薬には責任をもち,Do no harmの原則から薬剤性の副作用は可能な限り避け・早期に察知するように,というメッセージが込められている.コトバだけではなく,実践的なtipsも授けていただいた.その一つは,“有名な落とし穴は予め覚えるようにし,予防線を張っておくこと” だ.たとえば,アシクロビル.この薬剤は尿細管障害や脳炎をきたすことがある.そこで,腎機能に応じて用量調節を行いつつ補液を少し強化して治療を開始し,その後も,腎機能をモニターしつつ補液による心不全に注意する.肝心なのは使いようだ.続いて,“臨床経過が奇異な場合や極端な様相では薬剤性から疑うこと” も臨床のルーチンとして授かった.薬剤性の事象は灯台元暗しで実に気づきづらい.「いつも心に結核と薬剤を」は諏訪中央病院総合診療科の玉井道裕先生に教えていただいたクリニカルパールだ.
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