連載 Focus On
臨床検査値の病態以外の変動要因
村野 武義
1
1東邦大学理学部臨床検査技師課程
キーワード:
生理的変動
,
個体間変動
,
個体内変動
,
検体採取条件
Keyword:
生理的変動
,
個体間変動
,
個体内変動
,
検体採取条件
pp.1209-1213
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_1209
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臨床検査値は,病気の診断や治療方針の決定だけでなく,経過観察や予後判定においても重要な役割を果たす.しかし,臨床検査値は病態以外の要因によっても変動する可能性があることを念頭に置く必要がある.病態以外の要因としては,生理的変動と検体採取条件による変動があげられる.生理的変動とは,病態や疾患とは無関係に生じる変動で,個体間変動と個体内変動に分類される.検体採取条件としては,採取に使用する器具や方法,さらには採取から測定までの取り扱い条件が臨床検査値に影響を及ぼす.検査に使用される検体は,適切な方法で採取し,適切に取り扱われることで,患者の病態を正確に反映した検査結果が得られる.そのため,臨床検査値を正しく解釈するには,病態変動だけでなく,生理的変動や検体採取条件による変動も影響を及ぼす可能性があることを十分理解しておくことが重要である.

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