特集 炎症性腸疾患update
扉
杉本 健
1
1浜松医科大学 内科学第一講座
pp.986-987
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_986
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今から25年くらい前(西暦2000年前後),私はまだ大学院生として炎症性腸疾患(IBD)の基礎研究を行っていたが,当時は5-ASA製剤,ステロイド,免疫調節薬,栄養療法くらいしかなく,動物実験モデルなどを使って新規治療薬の可能性となるものをいろいろと探索していた時代であった.当時は免疫学教室にお邪魔して実験をしており,抄読会などを定期的に行っていたのだが,その頃に『動物実験でインテグリンという物質を制御することで腸炎が改善したらしい』とか,『p40蛋白はIL-12だけに存在するわけではなく,新しく見つかったIL-23というサイトカインもp40蛋白をサブユニットとしてもっているらしい』とか,『JAK経路というものが腸炎の発症メカニズムに関わっているらしい』というような興味深いいくつかの論文が話題となっていた.当時はまだ,それらが実臨床で使われるようになるのかどうかもよくわかっていなかったが,蓋を開けてみれば現在ではそれらは実際にIBD治療薬の重要なターゲットになっており,毎年のように新規薬剤が登場している.
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