特集 患者さんからよく尋ねられる内科診療のQuestion
第11章 腎臓・透析
[33歳男性,無症候性蛋白尿]健康診断で尿蛋白を初めて指摘されて来院しました.病気なのでしょうか?
小林 一雄
1,2
1内科クリニックこばやし
2横浜市立大学 医学部循環器・腎臓・高血圧内科学
pp.1006-1008
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_1006
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
お答えします
たしかに腎臓の病気の可能性はありますが,1回の検尿所見だけではきちんとした診断はできません.まずは尿の再検査が必要になります.可能であれば再検査において尿蛋白定量を行うと次の診断がスムースに進みます.尿蛋白定量が正常範囲(0.15g/gCr)を超えていれば,腎臓病の可能性があり,次に血液検査を行います.最も重要な血液検査は血清クレアチニン(Cr)値であり,この値から推算糸球体濾過量(eGFR)が求められます.尿蛋白定量とeGFR値を用いると,慢性腎臓病(CKD)の診断が可能となりますが,慢性というからには3ヵ月以上同じような所見が続くことが条件になるため,短期間で異常所見が消失してしまうのであれば,急性の腎障害などほかの疾患を疑うことになります.
© Nankodo Co., Ltd., 2024