特集 ここまで来た不整脈治療―明日からの診療に役立つ最新のアプローチ
扉
牧 尚孝
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
pp.854-855
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_854
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現在,高齢化が進む本邦では心血管疾患患者が増加傾向にあり,社会における負担も大きくなっている.高血圧症,糖尿病,脂質異常症に代表される疾病は虚血性心疾患のみならず心不全発症のリスクともなり,心不全パンデミックとよばれるなど心不全患者の増加は日本社会にとって深刻な問題となりつつある.心不全と不整脈には相互に増悪要因となる関係があり,心房細動に代表される上室性不整脈は心不全悪化を招き,また心室頻拍・心室細動といった致死性不整脈は,一見安定しているようにみえる心不全患者であっても突然死をきたす深刻な問題となる.循環器内科医を含めたすべての内科医にとって,突然の容体急変をもたらす不整脈は厄介な問題であり,その制御にあたっては抗不整脈薬による薬物治療が中心となってきた歴史がある.一方で抗不整脈薬による催不整脈作用により,とくに心機能低下をきたした患者ではかえって致死性不整脈の増加をきたすなど,予後改善に必ずしも寄与しないことが判明し,薬物治療のみでは改善せしめない病態も多々あることがわかってきた.
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