Japanese
English
投稿 臨床研究
貧血を合併した血液透析患者に対する赤血球造血刺激因子(ESA)製剤と低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬(HIF-PHI)によるHb変動に及ぼす効果の比較
Comparison of the effects of ESA and HIF-PHI on the hemoglobin cycling of the hemodialysis patients with anemia
山木 万里郎
1,2
,
松井 幸英
3
,
庄司 有希
1
M. Yamaki
1,2
,
Y. Matsui
3
,
Y. Shouji
1
1住吉クリニック病院付属大宮診療所内科
2現やまき内科クリニック
3住吉クリニック病院附属大宮診療所泌尿器科
pp.329-333
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_329
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に 貧血の治療中に時間経過とともにヘモグロビン(Hb)濃度が大きく変動することがあり,その現象は「Hb変動」とよばれている1,2).Hb変動は当初recombinant human erythropoietin(rHu-EPO)投与の血液透析(hemodialysis:HD)患者においてしばしば観察され,患者によって周期パターンに異なる傾向があるとされた.Hbが波のようにサイクルで増えたり減ったりを1年以上繰り返し,その変動幅が1.5g/dL以上となることはexcursionとよばれるが,このHb変動はHD患者の90%超において認められた3).上記の現象はrHu-EPOである,半減期の短いepoetin αやepoetin βが用いられた時期に確認されたが,半減期の長いdarbepoetin α(以下,DA)(半減期96時間)やepoetin β pegol(同171時間~208時間)においても認められている4,5).Hb変動と死亡や合併症のリスク増大に相関関係があるとする報告6~8)があるため,近年,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の貧血治療に登場した低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬(hypoxia inducible factor prolyl hydoxylase inhibitor:HIF-PHI)でHD患者にHb変動が起こりえるかどうかを確認する点に意義があると思われた.
© Nankodo Co., Ltd., 2023