特集 “じゃないほう” の消化器症状―潜んでいる他領域疾患を見逃さない
[Chapter 5] 下痢で受診した患者の……?
甲状腺機能亢進症
吉村 文孝
1
,
國友 耕太郎
1
,
志水 太郎
2
1国立病院機構熊本医療センター 総合診療科
2獨協医科大学 総合診療医学・総合診療科
キーワード:
慢性下痢症
,
甲状腺機能亢進症
,
体重減少
,
red flag sign
Keyword:
慢性下痢症
,
甲状腺機能亢進症
,
体重減少
,
red flag sign
pp.120-123
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_120
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▪下痢は,持続期間により急性下痢症と慢性下痢症に分けられる.
▪慢性下痢症の鑑別診断は多岐にわたり消化器疾患以外が原因であることも多い.
▪甲状腺機能亢進症の患者では,腸管蠕動の亢進や食事摂取量の増加,胆汁酸の腸管再吸収の低下により下痢を起こしやすい.
▪慢性下痢症の患者で,「50歳以降の発症」「体重減少・発熱」がある場合や消化器疾患の精査を行っても原因を特定できない下痢症の場合は甲状腺機能を測定する必要がある.
▪甲状腺機能亢進症の緊急病態である甲状腺クリーゼについて把握し,下痢のほかに頻脈・心不全徴候や意識障害があれば,必ず甲状腺機能を確認する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023