特集 “じゃないほう” の消化器症状―潜んでいる他領域疾患を見逃さない
[Chapter 5] 下痢で受診した患者の……?
下痢で受診した患者の診察ポイント
中野 弘康
1
1大船中央病院 内科
キーワード:
下痢
,
水様性
,
炎症性
,
脂肪性
,
鑑別疾患
Keyword:
下痢
,
水様性
,
炎症性
,
脂肪性
,
鑑別疾患
pp.111-113
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_111
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▪下痢は医学的に便重量の増加>200~250gと定義されるが,実臨床では軟便・便の液状化や排便回数の増多(>3行/日)をもって下痢と捉える.
▪患者の訴える “下痢” が,われわれの認識する “下痢” と同じ内容か常に吟味を怠らない.よくある過ちは,“頻回にトイレに行く” という訴えを下痢と認識してしまうことである.頻回の便意は,渋り腹を意味するため,厳密には下痢ではない.
▪下痢の鑑別の出発点は,発症がいつからか明らかにすることから始まる.
▪発症後2週間以内の下痢は急性下痢と考え,その多くは自然に軽快する感染性腸炎が該当するが,4週間以上続く下痢は慢性下痢と考え,非感染性病態が多い.過敏性腸症候群,炎症性腸疾患,吸収不良症候群,薬剤性下痢を想起する.
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