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Case summary
成長障害と2年間にわたる進行性の頻呼吸のある6歳女児.妊娠・出産に異常なく,出生時体重(3.66kg,50パーセンタイル(正常平均))および発育はすべて正常であった.しかし,生後6~9ヵ月までに体重増加が遅くなり,2~3年で身長の成長が遅くなり,受診時には身長と体重は年齢に対して3パーセンタイルという成長障害を認めた(身長103.5cm,体重13.6kg).4歳頃から息止めがしづらく,水泳は避けるようになっていた.最初は運動時に,続いて安静時に,そして最後には睡眠中にゼーゼーすることが増えていた.2年間にわたる頻呼吸に関して,近医では当初気管支喘息,胸部X線撮影後には肺炎として加療されていた.咳,発熱,胸痛,リンパ節腫脹はなく,肺炎または他の肺疾患,環境曝露または薬物使用の病歴は認めなかった.両親はともに健康で,肺疾患の病歴はなかった.
診察上は中等度の頻呼吸,軽度の頻脈,および吸気性ラ音を聴取したが,それ以外に特記すべき所見はなかった.呼吸機能検査により,重度の混合性呼吸機能障害(%FVC 44%,FEV1.0 44%)が明らかになった.酸素飽和度は室内気でSPO2 88%であり,会話や短い距離の歩行によって低下した.胸部X線像では両側肺野にびまん性陰影を認め,胸部CT所見では両肺のびまん性すりガラス陰影とcrazy paving patternを認めた(図1).最終的には胸腔鏡下肺生検によって肺組織の病理学的検査から肺胞蛋白症の診断となったが(図2),血清顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor:GM-CSF)自己抗体は2回の検査いずれも陰性であった.
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