連載 医療用ITツールのイマとミライ
第5回 ニコチン依存症治療アプリ
阿河 光治
1
,
佐竹 晃太
1,2
1株式会社CureApp
2日本赤十字医療センター呼吸器内科
pp.1167-1170
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_1167
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「CureApp SC®ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」(以下,CureApp SC)は禁煙治療プログラムをサポートする治療用アプリケーション(以下,アプリ)である.禁煙治療は医療従事者が行う動機づけ面接や認知行動療法などの面接技術をベースに禁煙補助薬を活用して,ニコチン依存症患者を禁煙に導くものである.ただ,医療機関で診察をしている時間以外は積極的に医療従事者が介入することは難しく,禁煙の成功率は3割程度に留まっている1).そのような外来と外来の間の「治療空白」への介入を目的として治療用アプリCureApp SCは開発された.CureApp SCはスマートフォン用「患者アプリ」と,呼気一酸化炭素濃度を在宅で測定する携帯用「COチェッカー」,そしてPC用「医師アプリ」から成り,患者の日々の行動変容をリアルタイムにサポートする(図1).
治療を目的としてスマートフォンなどの汎用デバイスにインストールされたアプリのうち,その効果を立証し,医療機器として承認されたものは「治療用アプリ」とよばれる.従来十分に関与できていなかった患者の行動や認知にアプローチすることができる新たな治療の選択肢として注目されている.CureApp SCは国内第Ⅲ相臨床試験で有効性が確認され2),2020年6月に薬事承認,同年12月より保険適用となり,本邦において保険診療で処方できる初の治療用アプリとなった.
© Nankodo Co., Ltd., 2022