特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第5章 産婦人科
卵巣がん・子宮体がんと遺伝
平沢 晃
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病態制御科学専攻腫瘍制御学講座(臨床遺伝子医療学分野)
pp.1903-1906
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1903
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遺伝性腫瘍とは
ある家系に特定のがんの異常集積がみられる場合,その原因にかかわらず,集積した腫瘍を家族性腫瘍(familial tumor)と称する.腫瘍が家族性に集積する原因としては,遺伝・環境・偶発の要因があり,遺伝的要因で家系内集積性を示すものを一般に遺伝性腫瘍(hereditary tumor)と称する.家族性腫瘍の概念には原因遺伝子が明らかである遺伝性腫瘍の他,環境要因を共有することで家系内集積性を示すもの,偶発的に集積したもの,原因不明症例,などの要因が考えられる.なお現時点で腫瘍の家系内集積性の原因が不明な例のなかには,現在われわれが知りえない因子が原因であるものと,遺伝要因,あるいは環境要因が原因であるが,突き止められないだけの場合がある.
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