特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第1章 外 科
E.脳神経外科
TOPICS
機能的脳神経外科の進歩
平 孝臣
1
1東京女子医科大学脳神経外科
pp.1808-1808
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1808
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通常の脳神経外科手術は「脳や脊髄に対して危害を及ぼす病変を取り除く」という概念に基づいている.これに対し,機能的脳神経外科は「神経細胞や神経線維に直接手術操作を加え患者の症状を改善させる」というもので,脳神経外科のsub-specialtyとして最も古い歴史がある.機能的脳神経外科では,この20年ほどは脳深部刺激(deep brain stimulation:DBS)という脳内に留置した電極と前胸部に植え込んだペースメーカーによって慢性的に刺激を行うという手法が中心的役割を果たしてきた.これにより,各種の不随意運動,Parkinson病の諸症状などが良好にコントロールできるようになった.最近では,DBSの機器の進歩により充電式のペースメーカーや多極電極が用いられるようになった.DBSは可逆性と調節性が利点として受け入れられてきたが,患者の側からは機器の故障,感染や異物拒絶などへの懸念が一生つきまとい,症状をコントロールしているのみで治癒にはいたらないという精神的ストレスが問題となっている.
© Nankodo Co., Ltd., 2019