特集 今日の呼吸器診療と今後の展望
知っておきたい呼吸器疾患
大気・室内環境関連疾患
權 寧博
1
,
飯田 由子
1
,
清水 哲男
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
キーワード:
粒子状物質
,
PM 2.5
,
じん肺
,
石綿
Keyword:
粒子状物質
,
PM 2.5
,
じん肺
,
石綿
pp.1427-1431
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1427
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Summary
▪大気汚染が健康上の問題としてクローズアップされるようになったのは,わが国では戦後の高度成長期の工業化に伴い大気汚染がピークを迎え健康被害が深刻化したころである.その後,大気環境対策の必要性の認識と努力による結果,かつては社会問題となっていたSOx,NOxなどへの高濃度曝露による急性気管支炎や喘息発作などの集団発症は,近年ほとんどみられなくなってきている.
▪それに替わり,比較的低濃度の大気汚染物質への慢性曝露,とくにPM 2.5への慢性曝露は肺がんの発症と関連することが明らかにされており,アジアを中心に深刻な汚染レベルとなっている.
▪わが国ではほとんどの地域でおおむね環境基準以内にはあるものの,越境大気汚染の影響から局地的に高濃度にさらされる場合があり問題となっている.また,過去の産業活動の遺産ともいうべき石綿問題など,今後も懸念される呼吸器疾患はあり,引き続き対策が必要となる.
© Nankodo Co., Ltd., 2019