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経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)に関する書籍は近年多く出版されているが,ガイドワイヤーおよびそのテクニックに特化した書籍は非常に少ない.一方で,PCIを行う循環器内科医にとって,ガイドワイヤーの操作方法というのは最も関心が高い分野かもしれない.筆者もPCIを習いたての頃に,ガイドカテーテルが挿入できずに上級医に交代になってもあまり悔しくなかったが,ガイドワイヤーが思ったように操作できずに上級医に交代となるとなぜか悔しかったことを記憶している.本書はその,最も関心の高い分野に対してさまざまな角度から国内の一流の術者の先生方が執筆されている.最初に総論的な「ガイドワイヤーとは」という章から始まるが,ここにガイドワイヤーの基本構造や選択の原則といった,基本ではあるものの今まであまり体系的に学ぶ機会の少なかったことがテンポよく解説されている.ガイドワイヤーの持ち方という基本的な部分においても,単にガイドワイヤー挿入時の持ち方だけでなく,通常の書籍ではあまり解説されることのないバルーンカテーテル挿入時のワイヤーの持ち方や,バルーンカテーテル回収時のワイヤーの持ち方といった部分まで丁寧に解説されており,これからPCIを始める先生にはきわめて有用である.興味深いのは,ガイドワイヤーの操作方法を初心者編,中級者編,上級者編に分けて執筆されていることである.初心者の先生は入門書として本書を活用することができるし,また,初心者の先生にとって中級・上級者の先生方がどのようにガイドワイヤーの操作を考えているのかを知ることはとても興味深いのではないかと思う.とりわけ,慢性完全閉塞病変に対するガイドワイヤーの選択などを初心者,中級者の先生が勉強しておくことで,上級者の先生が慢性完全閉塞の手技をされている間に何を考えているのかを知ることができるようになるだろうし,長い手技の助手も苦にならなくなるかもしれない(?).
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