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日本内視鏡外科学会のアンケート調査が示すように(図1),食道癌に対する低侵襲外科手術では2018年度のロボット手術に対する保険収載を契機として,従来の胸腔鏡下食道切除(TE)からロボット支援下食道切除(RE)へのパラダイムシフトが起こりつつあり,現在ではその採用率が着実に増加している.一方で,わが国で開発された経頸的縦隔鏡下食道切除(TCME)は導入施設が限られており,その普及はここ数年横ばいである.その主な理由は,REにおいては腹臥位または半腹臥位での経胸的アプローチが主流となり,良好な視野展開と安定したカウンタートラクションのもとで拡大視された解剖学に沿った精緻な手術が定型化されていることにある.対照的に,TCMEは術野が狭く,操作性にも制約があり,特にカウンタートラクションの欠如による手術の難易度とストレスの増加が導入の障壁となっている.しかしながら,われわれはTCMEとTEを比較し,短期の合併症率には有意差を認めず,TCMEは術後の呼吸機能温存に有利であると報告した1).このことからTCMEの低侵襲性は明らかであり,その本質は「胸壁破壊の回避」にあると考えられる.
The introduction of the da Vinci SP system has led to the classification of surgical robotic platforms into multiple-port and single-port systems. Esophagectomy for esophageal cancer can now be performed through various approaches, including transthoracic, transcervical, transhiatal, and subcostal routes. Future studies are warranted to determine which robotic system is most suitable for each approach and provides optimal short- and long-term outcomes.

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