連載 知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【5】
エビデンスに基づく曝露対策 ~モニタリング~
髙橋 真由美
1
Mayumi TAKAHASHI
1
1社会医療法人財団大和会 東大和病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.71-74
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_71
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がん患者の看護に携わる医療者にとって,抗がん薬などHazardous Drugs (HD)を直接的または間接的に取り扱う場面は少なくない.2014年厚生労働省より『発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん薬等に対する曝露防止対策について』の通知が初めて出され,2015年には日本臨床腫瘍学会(JSMO),日本臨床腫瘍薬学会(JASPO),日本がん看護学会(JSCN)の3学会合同による『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン』初版が発刊された(現在は2019年版が発刊されている.以下,ガイドライン).さらに,2018年に日本看護協会より発表された『看護職の労働安全衛生ガイドライン』の中で,HDによる職業性曝露の予防と対策の徹底が求められている.これらの背景のもと,各施設でHDによる職業性曝露に関する対策は始まった.しかしHD曝露は,日常業務において目視で確認することができない.曝露対策が適切に行われているかの評価について,ガイドラインでは「HD曝露の把握のために定期的な環境モニタリングは推奨されているか」「HD曝露の把握のために定期的な生物学的モニタリングは推奨されているか」のクリニカル・クエスチョン(CQ)を設定している1).本稿では,このCQについての解説とともに,筆者の施設で取り組んでいるモニタリングの実践について紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022