Japanese
English
特集 分子的残存病変(MRD)検査と外科診療
III. 主なclinical question
3.MRD陽性・陰性で術後補助療法の適応はかわるか?
Clinical utility of molecular residual disease testing for postoperative adjuvant therapy decision-making
坂東 英明
1
H. Bando
1
1国立がん研究センター東病院
キーワード:
血液循環腫瘍DNA(ctDNA)
,
分子的残存病変(MRD)
,
DYNAMIC試験
,
IMvigor011試験
Keyword:
血液循環腫瘍DNA(ctDNA)
,
分子的残存病変(MRD)
,
DYNAMIC試験
,
IMvigor011試験
pp.121-125
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka88_121
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
血液循環腫瘍DNA(ctDNA)による分子的残存病変(MRD)検査は,術後再発リスクを高精度に層別化し,治療方針決定を支援する新たなバイオマーカーである.
StageⅡ結腸癌を対象としたDYNAMIC試験では,ctDNAに基づく治療強度調整により,補助化学療法の使用を減らしつつ再発率を悪化させないことが明らかとなり,過剰治療回避に寄与した.一方,stageⅢ結腸癌を対象としたDYNAMIC-Ⅲ試験では,ctDNA陰性例の治療減弱によりoxaliplatin使用率や入院率が低下したものの,3年無再発生存率(RFS)は標準治療群に対して非劣性を示さず,ctDNA陽性例への治療強化によるRFS改善効果も認められなかった.
さらに,CIRCULATE-JapanのALTAIR試験では,術後補助化学療法終了後にMRD陽性となった症例に対するtrifluridine/tipiracil(FTD/TPI)の先制治療が一部集団で有効性を示唆した.加えて,筋層浸潤性膀胱癌を対象としたIMvigor011試験では,膀胱全摘術後にctDNA陽性と判定された症例に対し,atezolizumabによる補助免疫療法が無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を有意に延長した.これらの成果は,MRDを軸とした個別化周術期治療の実装を加速し,precision onco-surgery時代の新たな治療パラダイム確立につながることが期待される.

© Nankodo Co., Ltd., 2026

