書評
寺島式静岡がんセンター胃癌手術―開腹からロボットまで[Web動画付]
瀧口 修司
1
1名古屋市立大学消化器外科
pp.866
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka82_866
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- 文献概要
本年3月,寺島雅典先生より本書を献本していただいた.最近目にする手術本ではあるが,本書の一番の特長は寺島先生の編著であることに尽きる.寺島先生は1983年のご卒業で,開腹胃癌手術から手術を習われた先生である.当時は拡大手術全盛期であり,接合部癌に対する左開胸手術やD4郭清といわれる大動脈周囲の予防郭清など,臨床試験で否定された手術も行われた時代である.その中で,一際,多くの手術経験から技術を培われた日本を代表する胃癌外科医である.開腹手術の名手といわれる先生は,その技術の高さから,動作制限のある腹腔鏡手術を始めるには若い先生よりもむしろハードルは高い.そのような中,患者ファーストの考えのもと,腹腔鏡手術にも積極的に力を入れられ,素晴らしい技術を身につけられた先生でもある.JCOGグループの中心を担う存在でありながら,手順を踏んでいち早くロボット手術を導入された.ある意味,三種のアプローチを完全マスターした稀有の外科医といえる.
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