Japanese
English
成人股関節疾患の診断と治療 Ⅱ.治療
3.人工股関節全置換術
2)セメント人工股関節
インプラントの進化からみる再手術率の大幅な改善
-――Double taper型チタン製ステムと高度架橋ポリエチレンカップを用いたセメント人工股関節全置換術の長期成績
Long-term outcomes of cemented total hip arthroplasty using a double taper titanium stem and first-generation highly cross-linked polyethylene cup
高岡 佑輔
1
,
河井 利之
1
,
奥津 弥一郎
1
,
森田 侑吾
1
,
夏目 大知
1
,
松田 秀一
1
Y. Takaoka
1
,
T. Kawai
1
,
Y. Okuzu
1
,
Y. Morita
1
,
D. Natsume
1
,
S. Matsuda
1
1京都大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
cemented THA
,
highly cross-linked polyethylene(HXLPE)
,
radiolucent line(RLL)
,
stem subsidence
Keyword:
cemented THA
,
highly cross-linked polyethylene(HXLPE)
,
radiolucent line(RLL)
,
stem subsidence
pp.107-110
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei88_107
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
セメント人工股関節全置換術(THA)は,変形性股関節症や関節リウマチなどによる疼痛と可動域制限を大きく改善し,患者の生活の質(QOL)を向上させる術式として広く普及している.特に本邦では骨質や股関節形態の特性から,セメントを用いたインプラント設置が長年にわたり行われており,安定した長期成績が報告されている.
セメントTHAの成否は,骨・セメント・インプラントの三者による複合体(bone-cement-implant complex)が適切に形成されることに依存する1).ステムやカップの材質・形状・表面性状はその安定性に大きな影響を及ぼす.特にステムについては表面の粗さやテーパー形状の違いが,骨とセメントとの界面挙動を変化させることが示されてきた.
一方,高度架橋ポリエチレン(HXLPE)は従来のポリエチレンに比して摩耗粉の産生を著しく減少させ,骨溶解(osteolysis)やインプラントの無菌性弛みを抑制することによって長期成績を大幅に向上させていることは周知のとおりである.
本研究では,double taper型チタン製ステムおよび第一世代HXLPEセメントカップを用いて施行されたTHAについて,15年前後の長期成績を検討し,特にX線変化であるradiolucent line(RLL)やsubsidence(沈下)と臨床成績の関連を解析した.

© Nankodo Co., Ltd., 2025