発行日 2011年5月20日
Published Date 2011/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2011248715
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本研究は、がんサバイバーに対するグループ精神療法的アプローチを用いたサポートプログラムへの参加者の特性を明らかにすること、情緒状態の経時的変化によりプログラムの有効性を評価することを目的とした。対象はプログラムへの参加者140名で、参加者特性は女性の割合が多く、平均年齢は男性のほうが高かった。がんの部位は乳腺がもっとも多く、転移・再発がない人が約7割であった。情緒状態の測定には質問紙POMS(Profile of Mood Status)を用い、プログラム開始前のPOMS得点は、女性の緊張-不安、抑うつ-落ち込み、疲労、混乱が男性よりも有意に高かった。健康成人の標準値との比較では、女性参加者は緊張-不安、抑うつ-落ち込み、混乱が有意に高かった。情緒状態の経時的変化についてはプログラム開始前・終了時・終了10ヵ月後すべてに回答した50名を対象とし、反復測定による分散分析を行った結果、緊張-不安、抑うつ-落ち込み、怒り-敵意、疲労に有意差を認めた。これらの項目について多重比較を行ったところ、緊張-不安と抑うつ-落ち込みは開始前より終了時・終了10ヵ月後ともに有意に低下し、怒り-敵意、疲労は終了時には低下していた。これらの結果からサポートグループを行うことの意義が見出され、情緒状態の一部に対しては長期的な効果も示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2011