診療controversy medical decision makingのために 日本人2型糖尿病患者における血糖はどこまで下げるべきか(ACCORD studyを受けて)
厳格すぎるコントロールは危険
西村 理明
1
1東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
キーワード:
Insulin
,
Sulfonylurea Compounds
,
Glycosylated Hemoglobin A
,
食事療法
,
低血糖症
,
糖尿病-2型
,
多施設共同研究
,
ランダム化比較試験
,
強化インスリン療法
Keyword:
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Diet Therapy
,
Insulin
,
Glycated Hemoglobin A
,
Hypoglycemia
,
Sulfonylurea Compounds
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Multicenter Studies as Topic
pp.142-146
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009247958
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糖尿病の治療目標は、血糖コントロールをできるだけ正常化して、その合併症の発症・進展を予防することである。2008年2月、Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD) studyにおいてインスリンを中心としたさまざまな薬剤を用いた強化血糖コントロール群の死亡者数が、標準血糖コントロール群を有意に上回ったことが発表された(Fig.1)。強化血糖コントロール群の治療は中止され、標準血糖コントロール群と同様に治療されることとなった。このニュースは瞬く間に世界中を駆け巡り、とりわけ、糖尿病の臨床に携わるものにとってショッキングなものとなった。ACCORD studyの詳細は2008年6月に行われた米国糖尿病学会で報告され、同時に『The New England Journal of Medicine』に報告された。そこには、本研究における厳格な血糖コントロールがharm=有害であったと明記されている。そして、強化血糖コントロール群における死亡の頻度が有意差をもって上昇していたことが示されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2009