診療controversy medical decision makingのために 前立腺癌治療
手術派の立場から
松本 明彦
1
,
西松 寛明
1東京大学 泌尿器科
キーワード:
生活の質
,
前立腺腫瘍
,
前立腺切除
,
放射線療法
,
前立腺特異抗原
,
治療成績
Keyword:
Prostatectomy
,
Prostatic Neoplasms
,
Quality of Life
,
Radiotherapy
,
Treatment Outcome
,
Prostate-Specific Antigen
pp.957-962
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008056091
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前立腺癌は他の癌に比べ高齢者に多く、全世界での前立腺癌年齢調整罹患率は25.3であり、肺癌(35.5)に次いで2番目に相当する。日本国内の調査結果(1999年)に基づく、わが国の男性の年齢調整罹患率(基準人口は昭和60年モデル人口)は、前立腺癌では21.7と、胃癌、肺癌、結腸癌、肝臓癌、直腸癌に次いで6番目に高く、男性癌全部位の5.7%を占める。現在、前立腺癌に対して施行されている治療法は、(1)手術療法、(2)放射線療法、(3)内分泌療法、(4)待機療法の4つがあげられ、治療効果においてそれぞれ利点と欠点が存在する。患者の癌発見時の年齢や最初に発見・評価された医師の専門分野に治療法が影響を受けており、われわれ泌尿器科医をはじめとして、放射線治療医、臨床腫瘍医がバランスのとれた治療のオプションを患者に提示していくことが重要と考えられる。本稿では限局性前立腺癌に対して、手術療法と並び根治性を期待できる治療である放射線治療との比較を中心に、内分泌療法や待機療法との比較にもふれつつ、手術療法を支援する見解を述べていきたい。
©Nankodo Co., Ltd., 2007