慢性腎臓病 CKDキャンペーンをめぐる話題
国内外のCKDに対するエビデンス 糖尿病性腎症 日本の研究から
四方 賢一
1
,
槇野 博史
1岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学
キーワード:
アルブミン尿
,
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
血圧
,
血糖
,
糖尿病性腎症
,
多施設共同研究
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
Keyword:
Albuminuria
,
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Blood Glucose
,
Blood Pressure
,
Diabetic Nephropathies
,
Multicenter Studies as Topic
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
pp.74-78
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007246390
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わが国では、2型糖尿病の増加に伴って糖尿病性腎症は増加の一途をたどり、透析導入原因疾患の第1位を占めている。最近の疫学研究の結果より、日本人2型糖尿病患者の40%以上がアルブミン尿陽性であると推定される。糖尿病性腎症の治療の基本は、(1)血糖の管理、(2)血圧の管理、(3)レニン-アンジオテンシン系(RA系)の抑制、(4)食事療法(塩分、蛋白質の制限)、(5)禁煙などの生活習慣の改善であり、これらの治療を臨床研究によるエビデンスに基づいて的確に行う必要がある。近年、わが国においても、Kumamoto study,Japan-IDDM,RENAAL study,INNOVATION,SMARTなどの臨床研究により、血糖コントロールと、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のエビデンスが集積されつつある。最近、早期腎症は厳格な管理により高率に寛解することが明らかとなり、糖尿病性腎症の治療は、従来の進展を遅らせるための治療の時代から、寛解を目指した集約的治療が求められる時代に入った。今後、日本人のエビデンスを積み重ねることにより、わが国における腎症の集約的治療法の確立が期待される。
©Nankodo Co., Ltd., 2007