発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004126381
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64歳女.複視,耳鳴を主訴とした.一般身体所見では,両眼眼球結膜の血管の怒張を認め,また,両側の眼瞼から側頭部で血管雑音を聴取した.神経学的所見では,左の完全眼瞼下垂がみられた.眼球運動は両眼の上転・外転と右眼の下転が高度に,また右眼の内転と左眼の内転・下転が中等度に制限されていた.対光反射は直接・間接共に両側で遅鈍であった.一般血液検査では,HbA1c 6.2%の耐糖能異常がみられた.眼窩MRIでは,外眼筋の腫脹はみられなかった.頭部造影CTでは,怒張した両側の上眼静脈が造影された.頸動脈-海綿静脈洞瘻(CCF)が疑われ,脳血管撮影を施行した.右外頸動脈と右内頸動脈の造影の両側で海綿静脈洞が描出され,海綿静脈洞部硬膜動静脈奇形(CD-AVM)と診断された.以後,右総頸動脈の連日30分間の用手圧迫で耳鳴は消失し,眼症状はいずれも軽度改善し,退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2004