発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2002280351
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68歳女.血糖コントロール悪化,高血圧の増悪を主訴とした.1997年,非機能性副腎偶発腫と診断され,3年間経過観察していた.主訴により,内分泌学的検査成績,画像所見について厚生省の診断基準に従って,偶発腫の再検討を行った結果,preclinical Cushing症候群(PCS)と確定診断された.血糖・血圧コントロール不良の為,手術の適応と考えられ,左副腎切除術を施行し,臨床症状の改善を得た.経過中,腫瘍サイズの増大が認められなかったことは,腫瘍細胞の増殖よりも分泌動態の変化が起こったのではないかと推察された.非機能性副腎偶発腫からPCSへの進展については,報告例が少ない.副腎偶発腫症例では,非機能性から機能性腺腫への移行の可能性を念頭に置き,画像診断とともに定期的な内分泌学的検討を加えることが重要である
©Nankodo Co., Ltd., 2002