発行日 2004年7月20日
Published Date 2004/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004274713
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カンジダ症の背景因子,症状,診断,治療を述べた後,自験例(57歳男)を提示した.症例は肺結核,慢性膵炎,覚醒剤・アルコール中毒,梅毒反応陽性の既往があった.腹部を殴打されて激痛が続き,CTで膵嚢胞破裂を認め,開腹術とドレーン留置を受けた.術後はIVHを計82日間施行された.IVH施行中に発熱が14日間あったが,血中カンジダ抗原検査(カンジテック)は陰性であった.退院後,左股関節痛に続き前胸部の第2・第8肋骨肋軟骨部に腫瘤が出現した.両股X線で左股臼蓋に嚢腫様変化を,CTで左大腿骨頭軟骨下骨の不整像を認めた.肋骨病変の生検病理所見は肉芽組織で,培養でCandida albicansを認めた.フルコナゾール,ミコナゾールを投与したが,切開部の排膿は持続し,β-Dグルカン高値,カンジテック陽性となった.カンジダ血症に持続するカンジダ性眼内炎の合併が疑われ,薬剤の副作用,排膿再発などより保存的治療は困難と考え,肋骨の部分切除術を行った.術後排膿は消失し,検査所見,左股関節痛も改善した.術後6ヵ月で再燃はない
©Nankodo Co., Ltd., 2004