胆嚢を究める
基礎 胆嚢の発生と解剖
窪田 敬一
1
1獨協医科大学 第二外科
キーワード:
局所解剖学
,
憩室
,
消化器系奇形
,
胆嚢
,
胆嚢疾患
,
Rokitansky-Aschoff洞
,
重複胆嚢
,
胆嚢動脈
Keyword:
Anatomy, Regional
,
Digestive System Abnormalities
,
Diverticulum
,
Gallbladder
,
Gallbladder Diseases
pp.457-463
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011199012
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胆嚢は、粘膜筋板を欠き、Rokitansky-Aschoff洞を有するという解剖学的特異性をもった臓器である。肝下面、総肝管、胆嚢管で囲まれたCalot三角は胆嚢動脈が走行するため、胆嚢摘出術時に注意しなくてはならないポイントであるが、胆嚢管、胆管、肝動脈には走行異常が多いので、損傷回避のため熟知しておくことが肝要である。また、胆嚢奇形も多く、形態異常と位置異常に分類される。形態異常には重複胆嚢、二葉性胆嚢、多房性胆嚢、二房性胆嚢、憩室などがあり、位置異常には肝内胆嚢、左側胆嚢、その他の異所性胆嚢などがある。胆嚢は胎生4~7週に前腸に由来する肝芽より発生し形成されるが、これらの異常はこの期間の胆嚢および胆管の発生異常によると考えられる。発生と解剖を理解することは、胆嚢、胆管の異常を理解し、手術の安全性を増すうえで重要である。
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