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2001年~2010年に外科治療を受けた典型的左心低形成症候群77例を対象に検討した。1)初回姑息手術の術式はBTシャントを用いたNorwood手術(Nwd+BT群)が23例、右室肺動脈シャントを用いたNorwood手術(Nwd+RV-PA群)が23例、両側肺動脈絞扼術(BPAB)群が31例で、術前危険因子の平均保有数はNwd+BT群が1.0、Nwd+RV-PA群が0.9、BPAB群が1.7であった。2)Norwood手術の手術死亡は6例(13%)、両方向性Glenn手術までの遠隔期死亡は8例で、32例に両方向性Glenn手術が行われたが、手術死亡は1例(3.1%)であった。一方、BPAB後の手術死亡は4例(12.9%)、遠隔期死亡は5例で、Norwood+両方向性Glenn手術施行は22例、手術死亡は1例4.5%であった。3)第2期手術以降の遠隔期死亡は6例で、39例がEC-TCPCに到達し7例が待機中で、全体の累積生存率は統計学的有意差はないものの、後半5年に改善傾向を示していた。4)初回術式の3群間において差はなく、Fontan手術非到達率の年代別、初回手術による差も認められなかった。5)肺動脈狭窄に対する外科的形成術は第2期手術時に17例、Fontan手術時に8例であった。経皮的カテーテル肺動脈拡張術は観察期間中に5例に行われ、インターベンション回避率はNwd+RV-PA群で低かった。6)Fontan術後の心臓カテーテル検査ではNwd+BT群がPA indexで有意に低値であったほか、心臓エナジェスティックでもEesに有意差はないもののNwd+RVPA群で低値であった。尚、Fontan術後合併症は初回術式による偏りは認められなかった。
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