特集 進展経路からアプローチする頭頸部癌の画像診断
序説
久野 博文
1
1国立がん研究センター東病院放射線診断科
pp.815-815
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001190
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「頭頸部癌の読影レポート作成は難しい」という声をよく耳にする.原発巣または転移性リンパ節への生検によるアプローチが他の癌腫に比べ容易であることから,読影レポートを作成するタイミングで,臨床的に頭頸部癌の診断がついている(もしくは強く疑われている)ことがほとんどである.したがって,画像診断医が臨床医に伝えるべき画像情報は,腫瘍そのものの存在診断や質的診断よりも,その腫瘍がどこにどの範囲まで進展しているかが優先されるべきであり,治療方針への影響を考慮した上で詳細な情報・記載が求められる.しかし,必ずしも頭頸部領域を専門としない画像診断医や初学者にとって,それらの進展を正確に読影し,レポート作成やカンファレンスなどで臨床医に伝えることはハードルが高く,“難しさ”を感じさせる原因と考えられる.頭頸部癌の読影を深く勉強するには,洋書を含めても尾尻博也先生の『頭頸部の臨床画像診断学』(通称尾尻本)が名著である.ただ,忙しい日常診療の限られた時間の中で,頭頸部にあまり慣れていない診断医が腫瘍進展に関する記載を成書から探し出し,実際に読影に応用することは容易ではないかもしれない.
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