特集 肺に淡い陰影が広がっていたらどう診断するか?
序説
楠本 昌彦
1
1国立がん研究センター中央病院放射線診断科
pp.383-383
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001081
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物事を完璧に理解できることは素晴らしい.しかし,すべてのことがすんなりと完璧に理解できるかといえば,そうではない場合もある.特に対象物が複雑でかつ曖昧なものが多い場合,細かい理解はもちろん,本筋となる事柄の理解も難しい場合がある.ましてや類似の事柄との区別識別は困難を極める.肺に淡い陰影が広がっていたらどう診断するか?ここでいう淡い陰影とは,“もわっとした”,あるいは“ふわっとした白っぽい影”が,肺にみられる状態を指す.多少濃くても,淡くても構わない.均一であっても,不均一であっても構わない.淡い陰影には,すりガラス影が含まれるが,必ずしもすりガラス影には限定しない.白っぽい影が大きく広がっていても,小さな淡い影がたくさんみられる場合も含まれる.言葉で表現することが難しい陰影もある.このような陰影をみた時,放っておいていいのか,抗菌薬や抗生剤を投与するのがいいのか,ステロイドを投与すべきなのか,水を抜くのか,そんな道しるべを画像に求められることがある.その上で,この病態が治療に反応して元通りになることが期待できるのか,治療しても傷跡のようなものを残して安定した状態になることが予想されるのか,あるいは有効な治療が見込めず,もうどうしようもないのか示すことができれば,患者のマネージメントに役立つ.
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