研究レポート
下肢浮腫に対するI-HDFの有効性の検討【投稿】
増田 尚江
1
,
坂本 由佳理
1
,
田宮 祥子
1
,
横瀬 誠治
1
,
宮本 和宜
2
,
長田 真理子
2
,
宮本 二郎
2
1医療法人盡誠会宮本病院 透析室
2医療法人盡誠会宮本病院 内科
キーワード:
維持透析患者
,
I-HDF
,
下肢浮腫
,
plasma refilling
,
AFTD-pitting test
Keyword:
維持透析患者
,
I-HDF
,
下肢浮腫
,
plasma refilling
,
AFTD-pitting test
pp.785-791
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.15105/CE.0000000788
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【目的】加齢による栄養状態や活動量の低下などにより,体液過剰ではないにもかかわらず,下肢浮腫を呈することがある.このような症例に対しI-HDFを実施し,下肢浮腫が軽減するかを検討した.【対象】不適切なDWの設定が主因ではなく,栄養状態や活動量の低下により,日常的に下肢浮腫を呈していると考えられる維持透析患者10名.【方法】週末の透析治療終了時に,ECW/TBW測定,周囲長の測定および圧痕テスト(AFTD-pitting testの深沢変法)による浮腫評価を実施した.さらに,身体所見ではDW,CTR,hANP,Alb,CRPを評価した.観察期間は16週間.【結果】ECW/TBWは全身では約0.420を推移した.下肢では0.425~0.430の範囲で変動したが,傾向は認められなかった.周囲長の変化率では有意差はないものの,−2%程度の減少傾向を示した.圧痕テストでは,gradeをスコア化し,合計点を評価したところ,平均6.1から1.7への有意な軽減がみられた(P<0.05).身体所見ではいずれの項目も変化を示さなかった.【考察】I-HDFは間歇補液を行うことで,DeJager-Krogh現象に起因した毛細血管内圧の低下による間質からの水分移動が生じる.また,補液による血漿浸透圧低下の緩和も加わる.このようなplasma refilling促進が,浮腫の軽減につながったと考えられた.【結語】I-HDFによりplasma refilling促進や末梢循環の改善を図ることで,下肢浮腫を軽減する可能性が示唆された.
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