特集 総合診療×脳梗塞
総論:脳梗塞患者を取り巻く全体像
脳梗塞患者のペイシェント・ジャーニーとケア移行
─ 患者中心性の重要度─
松本 朋弘
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 総合診療部門
pp.1324-1330
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023110002
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はじめに
脳梗塞は,患者にとっては突然に訪れることがほとんどである.突然に訪れたこれまで にない“経験”は,驚愕,不安,落胆,焦燥,抑うつ,絶望といった感情の渦に患者を巻き 込む.そのときを境に,まさか自分に起きるとは思いもよらない現実に直面し,全く新し い自分となって,けっして楽ではない新しい日々を“経験“しなくてはいけない.しかしわ れわれ医療者にとって脳梗塞患者,脳梗塞既往患者と会わない日は少ないだろう.立場の 違いから生まれる医療者と患者・患者家族の物事の捉え方の差異は,けっして小さくない. 患者が体験することを顕在化し,そのとき,その後に患者がどのような経験をし,心情や ストレスを感じるかに思いを馳せ,対応をしていくことで,患者のこれからのペイシェン ト・ジャーニーをよりよいものに変えること(緩和)ができる. 本稿では,脳梗塞患者のペイシェント・ジャーニーを紹介する.ペイシェント・ジャー ニーを少しでも知ることで,読者の脳梗塞診療の質の改善が行われることを願っている1).
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