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特集 日本老年看護学会第27回学術集会 編集委員会企画
拡大編集委員会
効果的な論文査読を行うために知っておきたい重要な視点
Department of Innovative Research and Education for Clinicians and Trainees
大前 憲史
1
Kenji Omae
1
1福島県立医科大学附属病院臨床研究教育推進部
1Fukushima Medical University Hospital
pp.26-31
発行日 2023年1月31日
Published Date 2023/1/31
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
近年のインターネットの発達・普及は,非常に多様な情報発信手段を生み出した.医学研究の領域でも,結果をウェブサイトやSNSで公表したり,査読を受ける前のプレプリントをプラットフォーム上で公開したりすることさえできる.紙媒体しかなかった医学雑誌も,いまや電子媒体が主流になりつつある.医学エビデンスへのアクセスは以前よりはるかに容易となり,利用者の数は増え,また,その幅も広がっている.いかに正確なエビデンスを,透明性をもって迅速に利用者に届けられるか.これは臨床研究医として医学エビデンスを創る側にも使う側にもなる筆者自身が普段から強く意識していることである.かつてないほど研究の成果報告に対する迅速性が求められる現代にあって,医学エビデンスの質を左右する論文査読や査読者の役割はこれまで以上に重要視される.しかし,残念ながら,まだ日本では論文の査読について学べる機会は十分にない.そのような問題意識から,筆者はこれまで査読をテーマとする講演やワークショップ,書籍(大前ら,2020)の出版を通じ,まずはより多くの人に関心をもっていただきたいという思いで活動を行ってきた.本稿を読んで,「ブラックボックス」「ハードルが高い」,そのように敬遠されてきた論文査読を,もっと身近で興味深いものだと感じていただけたらたいへんうれしく思う.
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