日本老年看護学会第8回学術集会特集 シンポジウム
老人看護専門看護師の導入と定着に向けて
堀内 ふき
1
,
沼本 教子
2
1茨城県立医療大学保健医療学部
2神戸市看護大学
pp.16-17
発行日 2004年3月15日
Published Date 2004/3/15
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- 文献概要
私達はいま21世紀に入り,これまで誰もが体験したことのない本格的な高齢社会を迎えています.この社会は,「老い」を支える新しい思考やシステムを必要とし,とりわけ複雑で多様な保健医療福祉ニーズに対応できる老年看護への役割期待が大きくなっています.老年看護のこの役割を遂行し展開していく場も病院・在宅・施設へと広がる中でさらに多様になり,さまざまな専門職との連携協働の能力が求められています.また,20世紀末の看護界全体の動きとしては,1994(平成6)年の日本看護協会通常総会において「専門看護師」制度の発足が決議され,社会からの要請に応えうる「質の高いケア」を保証する制度づくりに取り組んでいく時代が切り開かれました.日本看護協会や日本看護系大学協議会によって検討されてきた専門分野の特定と教育課程の中には,老年看護におけるこれらの状況を背景に,老年看護の専門看護師の人材育成も構想されました.そして2002(平成14)年春には,待望の3人の専門看護師(老人看護)が世に送り出されました.老人看護専門看護師の教育課程の認定を受けている大学院も2002(平成14)年度末現在では8校になっており,次に続く人たちが数多く生まれようとしています.
専門看護師に求められる役割は,「卓越した看護の実践者」「コンサルタント」「調整者」「教育者」「研究者」と規定され,特に老年看護の領域では倫理的調整をする役割の重要性と期待は大きいものがあるといわれています.いずれにしても老年看護の専門看護師を必要とする喫緊の状況や課題は山積しています.
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