報告
老人病院の改革:付添家政婦廃止をめぐって—医療法人甲風会有馬温泉病院の場合
松本 治子
1
,
野口 美和子
2
1医療法人甲風会有馬温泉病院
2千葉大学看護学部
pp.112-116
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
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- 文献概要
Ⅰ.はじめに
医療法人甲風会有馬温泉病院は,神戸市より30分の阪神間の奥座敷といわれる有馬温泉に位置し,敷地内に泉源4本をもつ老人リハビリテーション病院である.温泉を利用しての水治療等を行う病院は少なくないが,その多くは長期入院となった老人を多く収容するようになっている.また多くは山間僻地にあり,看護介護職の人材確保の面で困難がある.当有馬温泉病院もそのような病院である.総病床数は384で,機能別・特例許可老人病棟2病棟,療養型病床群4病棟,新看護1病棟から成り立っている.また,創立25周年を迎えた平成9年に,訪問看護ステーション「ありま」を開設し,地域における在宅看護を提供しはじめている.
昭和47年開設当時から付添廃止に至った平成5年までの約21年間,「その他看護」の病院として機能し,平均360名の入院患者に対し,多いときには250名の付添家政婦がついていた.このように付添がいることを前提に機能していた病院からの脱皮を図り,付添家政婦を廃止した.この中で病院看護管理者は付添家政婦廃止に伴って生じた様々な問題点に対処してきた.日本の多くの老人病院はこのような付添家政婦廃止の洗礼を受け,この過程で老人病院としてのあるべき姿を形成してきたのである.本病院の改革の経緯を記録にとどめ,報告することは老人病院の将来を展望するに有用と考える.
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