第4回日本看護医療学会学術集会 シンポジウム
看護職は鏡にどのように映っているか:とりまく人々を鏡として
看護職は鏡にどのように映っているか—医療経済学的視点から捉えた看護
寺岡 加代
1
1東京医科歯科大学大学院
pp.47
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200198
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医療保険財政が厳しくなるなか、医療政策のトレンドは「医療費適正化」に集約されつつある。医療費適正化の最優先事項は、「医療費の無駄を省くこと」であり、昨今喧しい「構造改革」論を持ち出すまでもなく、言ってみれば医療者が当然取り組むべき課題である。ただしここにきて注意すべきポイントがある。つまり、「従来の医療費問題とは全く様相がちがってきた」ということである。これまでも医療費の適正化は再三、論議されてきた。しかしその論議の場は中医協、あるいは医福審、医療審などいわば「医療の専門家集団」が中心であった。ここで、丁々発止、激しいやり取りがあったにしても、経済財政諮問会議の面々から見れば、医療側はもとより、支払い側も含めて「仲間うち」なのである。確かに意見が対立しても、お互いに「落としどころ」をさぐり、決着してきた。しかし今や、経済財政諮問会議や総合規制改革会議という、政府レベルへと論議が広がっている。彼らは「落としどころ」を探るようなことはせず、「経済の論理」で迫ってくる。
看護サービスも例外ではない。従来、質の向上に向けての関心は高かったが、それにかかるコストの問題はあまり議論されてこなかったのではないだろうか。しかし病院経営も厳しい競争原理に曝される今、採算を考えない漫然としたサービスの提供は病院の存続自体を危うくする状況にある。
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